「事務局力」で奇跡を起こす
私が「事務局力」について書いてみたかった最大の理由は、「誰もが社会を変えるキーパーソンになり得る」ということを伝えたいと思ったからだ。
事務局力は、仕事ができる人になるためのハウツーではなく、あなたの気づきや小さな一歩を大きな変化につなげるための作法だ。
日本のサラリーマンは、与えられた仕事を懸命にこなし、自発的に改善活動にも勤しむ。だが、社会が大きな変化を起こしているときに、なぜかまったく気づかない人が多い。新聞に書いてある、雑誌でもテレビでも、問題だ、問題だと連呼されていて、目には入っていることでも、会社に行ってデスクに座ると、いつもの日常がそこにはある。ニュースもドラマも一緒だ、自分には関係ない。自分には、与えられた役割、仕事がある。
そんな人がいっぱいいて、この社会はハッピーなのだろうか?そういう人生が好きな人なら、それでもいい。だけど、自分が会社を変えるんだ、社会を変えるんだ、少しでも役立ちたいんだ、と目を輝かせる表情を誰もが持っているに違いない。
こういう気持ちを発露させる場が、日本の企業の中にはあまりに不足している。まじめにパソコンに向かって残業しているのがいいことだ、できもしない夢なんか持つな、という暗黙のメッセージが会社の中にはあまりに多すぎる。これは、私自身のコンサルティング経験からくる実感だ。未だに、多くの企業では、「何がしたいか」という質問は、「どこの部門のどの役割につきたいか」を意味する。だが、それだけでは会社はつぶれてしまうよ。企業は、社員がアイデアを出し、人やお金を投入して新しい価値を生み出し、それが社会に広がっていくことで、持続的に事業活動を続けている場だ。きわめてダイナミックな主体なのだ。サラリーマンは、もう求められていないんだ。
求む、発想の転換。会社は、自分のやりたいことを実現するための場だ。「誰もが自分のやりたいことをやったら、会社はばらばらになってしまうのでは?」なんて質問が聞こえてきそうだ。だから、事務局力が必要なのだ。自分がやりたいことをチームがやりたいことにする、それを部門がやりたいことにする、そして会社がやりたいことにする。同時に、会社がやりたいこと、部門がやりたいこと、チームがやりたいことから、自分がやりたいことは影響を受けるだろう。事務局力の実践は、つねにオープンなマインドで、周囲に働きかけ、協力関係をつくりながら、自己実現=社会実現を探求し続ける、そういう生き方(being)にほかならない。
それは、すごく美しい生き方だと思う。
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