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2009年3月21日 (土)

システム開発部門を創造的にする事務局力とは

システム開発という仕事は、なんだか見えにくい

車の開発みたいに目に見える試作品もなく、実験も、車の衝突実験のような派手さはまったくない。モニター上のテスト画面で数字が動くだけだ。できあがったものも、目に見えない。コードが数千行だ、数万行だ、と言われても、エッフェル塔のように目に見えないから、へぇーっと驚くこともない。仕事をしている様子も、大勢がただパソコンに向かって仕事をしているだけだし、デザインレビューは文字の羅列をみんなで読み合わせしているようにしか見えない。きっとすごい技術とか、美しいコードとかがあるのだろうけど、それがユーザから目に見えることはない。特に大規模システムになれば、この傾向は顕著だ。iPodのユーザインタフェースに感激する人はいても、銀行のATMのユーザインタフェースを褒める人には会ったことがない。つまり、それを動かすために膨大なソフトウェアが組まれているにもかかわらず、一般市民からは何も見えないのだ。

そうなると、いきおいシステム開発の仕事自体が、ダウンしない、ミスのない、格好悪くてもしっかり動く事が大事、となっていく。そうなれば、挑戦とか、感動とか、そういった刺激からどんどん離れていってしまう。その結果、新たな発想とかイノベーションが生まれなくなってしまうのだ。「測れるものは改善できる」とよく言うが、「目に見えるものは挑戦できる」ということなのだ。目に見えない仕事、目に見えないアウトプットは、挑戦意欲を組織的に低下させていってしまう。

システム開発の仕事をもっと創造的に、挑戦意欲をかきたてられるものにしたい。そう考える変革リーダーは少なくない。本来の「ものづくり」の面白さ、「誰かのために役立つ」という達成感は、車や飛行機、薬品を作るのとなんら変わりはないはずだ。どのように、システム開発の仕事を目に見えるようにし、アウトプットも目に見えるようにすることができるのだろうか。

まず最初に発揮すべき事務局力は、ユーザの巻き込みである。システム開発者はユーザを訪れ、夢を語る。ユーザと夢を共有するのだ。ユーザに共感されないなら、そもそも作ろうとしているシステムが役立たずなのかもしれない。真剣勝負だ。

次に、ユーザに提供する「新しい体験」をシナリオ(物語、漫画、ビデオなど)で示し、社内外のステークホルダーに発信する。ビジョンの全体像をひとつの絵で示したものは、「ビジョンマップ」と呼ばれる。ここで大事なことは、開発チームの外の人たちへのビジョンの可視化と共有である。とにかく見に来てくれと頼み、来てくれたら、ビジョンについてとことん話し合う。システムの評価者にも、ユーザにも、開発パートナーにも、とにかくみんなに見せる。

システム開発が始まったら、大きく壁に貼った「ビジョンマップ」の中に、「ここを開発中!」とか「ここまで完成」といった、シールやポストイットを貼りまくるビジョンの実現度を実況中継するわけだ。

働き方も変えていけるはずだ。リーダーは事務局力を発揮し、開発メンバー全員の日常をイベント化することができる。巨大なカレンダーを掲示し、システムリリースの日には「祭り!」と入れる。学園祭の準備のような毎日を演出するのだ。祭りを演出するには、チームのTシャツを作る、主題歌を決めて会議の最初に必ず流す、メンバー全員を何かユニークな委員に任命する(広報委員、宴会委員、表彰委員、タイムキープ委員など)。

うまくいくかどうかの保証はない。だがはっきりしていることは、目に見えない仕事は、目に見えるようにするだけで、ずっと面白くなるということだ。

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