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2009年3月21日 (土)

経理部員はスプレッドシートの向こうに何を見る

経理部の創造性は、現場からはきわめて見えにくい。

現場の提出した予算に難癖をつけて、会社の業績が悪くなると経費一律カットの指示を出す。あとは現場が稼いだお金を計算しているだけ。こんなネガティブなイメージを持っている人も少なくないだろう。だからいきおい、現場は自分の都合で月度末、年度末にまとめて経費の処理をする。経理部がそのタイミングで死にそうな思いをして残業していることに、なかなか想像力が及ばない。

このようなイメージに反して、経理部はきわめて創造的な業務だ。現場の人は自分の部門の仕事はよく知っている。自部門の予算管理のスプレッドシートを見たときに、数字を見ると、その数字の向こうにポワーンと、あれを買ったお金、あのプロジェクトで使った、といった現実が思い浮かぶはずだ。では、他の部門のスプレッドシートを見て、同じような想像力を働かせたことのある人は、どのくらいいるだろうか?

経理部とは、数字から現実を想像する業務である。そして数字によって未来を創造する業務でもある。

私の尊敬する経営者の人の話だが、その人がまだ若いころ、工場の経理を任された。彼はルールに従って数字をつけていたが、よくわからない数字がある。これはなんだろうか?と思うたびに、彼は工場を歩き回った。なるほど、ここに在庫が転がっているのか。それがあの数字か、と。そのうち、今の経理のルールでは、工場の現状をしっかりと表しきれていない事に気づく。そして提案する。「経理のやり方をこう変えたほうがいいのでは?」、と。もちろん、若造の話をそんなに真剣には取り合ってくれず、「そのうち検討しよう」ということで現状維持のままになった。

彼のすごいところは、「昼の8時間で、既存のやり方で経理をつけた。そのあと残業で、自分の考えるやり方で経理をつけた。二人分の仕事をやった」というところだ。新しい経理のつけ方をしていると、数字を見ると、工場の場所が目に浮かぶほどだったということだ。

彼はその後、社長にまでなった。経営会議では、「この数字、ちょっとおかしくない?」と社長が指摘すると、たいていそこにはミスや課題が隠れていたと言う。それほど、数字から描く想像力はすさまじいのだ。

今の経理部員は、過度に専門化してしまって、現場に行って話をするようなことが減ってしまっているのではないだろうか。数字を見て想像力を働かせて、仮説を作る。それを現場に行って話し合う。経理の仕事は予算を削ることではなく、数字を通して未来を創造することだ。それを現場の社員に見せ付ける、そのような事務局力を発揮してほしい

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