« 企画部のジレンマ | トップページ | デザイン部門は最も創造的なのか »

2009年3月 8日 (日)

営業部門の仕事は数十年来変わっていない

営業の仕事は、モノを売ることではない。顧客の問題を解決する、顧客の仕事や生活を豊かにするなど、「顧客の価値」を提供するのが営業の仕事だ。それは、誰でも知っていることだろう。だが営業部門の「仕事のやり方」は、「顧客の価値」とは無関係になってしまっていることが多い

営業部門の最大の問題は、営業同士が「顧客の課題」を共有し合っていないことである。自分の顧客のところに足繁く通い、情報を集め、仮説を立てる。社内のソリューション事例をイントラネットでかき集め、提案仮説をまとめる。だが、この一連の行動に圧倒的に欠けているものがある。他の営業が担当している顧客がどんな問題を抱えていて、それに対してどんな提案をしているか、何がうまくいっているのかといった、顧客の物語を探しに行っていないことだ。営業部門内で共有すべきは、自社のソリューション事例ではなく、顧客の抱えている課題だ。顧客の課題をカテゴリー分けすることではじめて、提案型のソリューションやマーケティングが可能になる。

ではなぜ、営業部門では「顧客の課題の共有」が行われず、きちんとした顧客課題に応じた「提案型ソリューションやマーケティング」がなされていないのであろうか。それは、営業部門の中心的施策が「営業成果による競争原理」にあるからだ。営業成果で競争をさせようとした場合、その平等性の担保が重要になり、その結果、組織的なマーケティングは犠牲になる。努力もなしにモノが売れてしまったら、営業成果での競争が不平等になるからだ。

このような営業部門の体質を変えていくためにやるべきことは、マネジャーであっても、一担当者であっても同じだ。「顧客の課題を共有する場」をつくることである。「自分の顧客が何に困っているか」を徹底的に共有する、そのための物語を語り合う場をつくるのだ。最初は面倒くさいと言う人もいるだろう。直接的に自分の顧客への提案に役立たないと思うからだ。ケアメールの力で、皆をその気にさせなければならない。特に、優秀な営業担当者は念を入れて場に呼び込もう。

夕方みんなが営業先から帰ってきたら、会議室を占領して、皆で集まろう。そして参加者一人ひとりに、「今、どんな顧客を担当しているのか。どんなことに顧客は困っているのか」ということだけを物語として語ってもらおう。大事なことは、「営業担当者の仮説」というアイデアではなく、「顧客の課題」というファクトを語らせることだ。そのためにアガペーモードで話を引き出そう。語られた内容は、次々にホワイトボードに書いていこう。付箋の使い方も、「他の営業担当者の顧客」についての気づきを書いてもらうようにするといい。

こうして「顧客の課題」を共有したら、自部門が力を入れるべき顧客の課題を皆で考えよう。それが決まったら、共通のソリューションを描く。一番得意な人間がやればいい。その課題にアプローチするなら、どんな提案書がよいか、またマーケティングイベントを仕掛けるのか、これらのことも一番得意な人間がやればいい。それぞれの参加者が個性を出して、競争するのではなく、協力し合って、顧客の課題を分析し、提案型ソリューションやマーケティングの土台を築くのだ。こういった活動をリードすることこそ、営業部門の事務局力に他ならない。

« 企画部のジレンマ | トップページ | デザイン部門は最も創造的なのか »

「事務局力」の基本と実践」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1140210/28526470

この記事へのトラックバック一覧です: 営業部門の仕事は数十年来変わっていない:

« 企画部のジレンマ | トップページ | デザイン部門は最も創造的なのか »