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2009年1月24日 (土)

仕事に「祭り」を: サラサラ・ワールドカフェ@KDIでの気づき

鈴木さん主宰のソーシャルキャピタル研究会のメンバーと、「サラサラの組織」のワールドカフェをKDIで行った。たいへん大勢の方、30名以上の方々にお集まりいただき、とても楽しい時間をすごすことができた。

創造的な対話や働き方の研修やコンサルティングを行っている人たちの集まりであったが、たいへん興味深いと感じたことは、「自分自身がガイドしている『創造的な対話』」が、「自分自身の組織ではできていない」、というギャップに悩んでいる人が多いということだ。

これは、紺屋の白袴なのだろうか?私の結論は、Noだ。この日のワールドカフェを通しての、一つの共通の気づきが「自分もできるという自信を持とう」ということであったが、それと似たところがある。創造的な対話がつねにできる人などいない。というより、いつも創造的だったら気持ち悪い。人間なのだから、気分もある。つねに創造的であることよりも、「あ、今の対話は創造的でなかったぞ」と気づくこと、時には意識して創造的な方向に対話をもっていくこと、そういったことができることが、創造的な対話をガイドすることのできる人なのだと思う。もし逆に、何の意識もなく、いつも創造的な対話をする人がいたら、それは「天然クリエイティブさん」なのであって、他の人が「なぜ創造的でなくなってしまうのか」という気持ちに共感することすらできないだろう。そう、うまくできなくていいのだ。うまくできなかったことに気づくこと、それができることがもっとも大事なのだ。

「サラサラの組織」というテーマで、集まった方々の関心が集まったのが、「いかに人と人とがつながるか」というベーシックな問題だった。興味深いことに、「本来、人は『つながりたい』と思っているはずなのに、会社組織の中で、本当の意味での『つながり』がなくなってしまっている」、という声が多く挙がっていた。組織が生み出しがちな、何らかの閉ループに陥って、抜け出せなくなっているのかもしれない。

この閉ループをどうやって抜け出せばいいのだろうか?その最大のヒントが、鈴木さんの口から出た「祭り」というものだというのが、私にとってこの日の最大の気づきである。その「祭り」の効用を説明する前に、まずは、なぜ組織は人と人とのつながりを失わせていくのか、そのメカニズムを考えてみたい。

・意志: 人は何かをやりたいという「意志」を持って組織に属す。一人ではできない、大きな目標を達成するために、組織を作る。
→組織: 組織は効率性を求める。大勢の人が並行して働くことができるように、分担、分業する。安定的に仕事が流れるように、管理をする。すべては、大きな目標を達成するためだ。
→つながり: 組織が効率的に動けば動くほど、「つながり」がなくなる。つながりがなくなると、「手段の目的化」が起こり、だんだん、仕事は生産性高くやっているのだが、「何のためにやっているのか?」という意味の喪失を招く。
→最初に持っていた意志は、どこへ行ってしまったのだろう?

この閉ループはとてつもなく強力だ。あらゆる組織が、この閉ループに人々を巻き込んでいく。まるで、地球の引力のように、失速した人工衛星を飲み込んでいく。

この閉ループへの引力から脱するために、意味の再認識をするために、「祭り」があるのだ。
・祭りは、効率を求めない。冗長性がある。
・祭りは、参加する人を人事評価したりしない。
・祭りは、批判し合わず、囃し合う。
・祭りは、お金でなく、意味でつながる。
・祭りは、儲かるからではなく、楽しいからやる。

このような、組織の論理と正反対の力をもつ「祭り」が、企業の活動、業務の中に織り込まれていったとき、その組織は本来の人と人とのつながりに気づき、あらためて意志や意味を再確認することができる。その結果、持続的に価値を生み出し続ける組織でいられるのだ。

祭りの仕事への取り込み方には、次の二通りがあるのではないか。
1) プロジェクトの運営に、「祭り」の原理を取り込む。
2) 年に数回、定例的に「祭り」のようなイベントを行う。

思い返せば、KDIでは、この1), 2)両方を自らの組織運営の中に自然に取り込んできていた。1)は、我々の最大のプログラムである、「ナレッジベンチマーキング(Service B)」だ。3ヶ月間にわたり、クライアント企業8社の変革リーダー5人ずつに集まっていただき、約40名の企業横断コミュニティで、日米欧の知識創造企業10社を見て回る。そのクライマックスは、ヨーロッパかアメリカへの旅を9日間ともにする、ベンチマーキングトリップだ。

クライアント企業にとっても、KDIのクルーにとっても、このプログラムは、明らかに「祭り」の要素を持っている。海外トリップの最終日は、KDIクルーも、クライアント企業からの参加者も、企業を超えて、みんなが泣き、笑い、ハグするほどの同志になる。この「祭り」をともにした仲間は、一生涯の友だ。帰国後、自社の改革を進めるときには、お互いが心の支えとなる。「今から役員プレゼンに行きます!」といったメールが飛んだりもする。そうすると、他社の変革リーダーから、「Good Luck!」といったメールが飛び交う。超うるうる(涙)しながら、それを見ている。

もう一つの祭りは、自分たちの定例行事だ。年に8回は開催する、コミュニティ企業の交流会、それから、仕事でお世話になったフリーの方や、KDIクルーの家族を呼んで、KDIスタジオでクリスマスパーティを開く。子供たちも走り回る、会社とは思えない、本格的なパーティだ。

こうして振り返ってみると、幸せだなあ。仕事に「祭り」があるのは。

鈴木さんはじめ、ソーシャルキャピタル研究会の皆さん、気づきの多いワールドカフェをありがとうございました。

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