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2008年12月27日 (土)

事務局 vs. 「同型化」プレッシャー

「同型化(isomorphism)」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

同じ地域に属する団体、同じ組織に属する人たちが、同じような振る舞いをするようになる、という社会学的な観察結果だ。私が特任准教授を務める、東工大のSIMOT (Science of Institutional Management of Technology)では、この「同型化」を乗り越えてイノベーションを起こすためのメカニズムを研究している。

慶應SFCの榊原清則教授は、日米のR&D組織比較を行い、「日本企業は組織内の同型化を起こしやすい」と指摘した。東工大の妹尾准教授と話をしていて、「エリート教育を受けた人が、部門に帰ったときに"浮いてしまう”ということを日本企業ではとても気にする」という話題があった。これはまさに、「同型化の肯定」である。すべての組織の構成員が、組織内で同じ振る舞いをすることが強いられているという証左に違いない。

このような同型化プレッシャーを乗り越えなければ、イノベーションは起きない。組織は、同型化をある程度は受け容れながら、どこかでそれを乗り越えることを考えなければならない。その切り札が、組織横断プロジェクトである。つまり、その事務局は、同型化プレッシャーと常に戦わなければならないのだ。

「管理的事務局」は様々な問題を発生させるが、とくにひどいことには、同型化プレッシャーを加速する役割を果たす。本質を突くような尖った意見は切り捨て、役員の好む当たり障りのない、見栄えの良いアウトプットを出そうとする。だから、今までと変わり映えのしない、変化を起こさない、シャンシャンという音が聞こえてきそうな落としどころを探すのだ。

だが、この同型化プレッシャーは、管理的事務局だけの問題ではない。同型化プレッシャーは、事務局そのものに対しても常に働くからだ。事務局に対して、周囲は前例を持ち出し、役員は好みのアウトプットを求める。各参加者は部門代表として組織のイナーシャーをそのまま持ち込み、外部のステークホルダー同士は利害対立を起こしている

こんな中で、同型化に対抗するには、事務局は相当な強い意志を持つ必要がある。入念に手を打った上で、周囲には熱く語って聞かせなければならない。事務局が同型化プレッシャーをのがれるためには、次のような手を打っておかなければならない。
- 志あるスポンサー役員を立てる。
- 参加者同士の共感を演出する。
- 原体験、ファクトデータを共有する。
- 議論のルールを作る。(前例にとらわれない、新しいアイデアを否定しない、など)

事務局は、同型化プレッシャーの存在を強烈に意識し、決して自らがその加速をしてしまわないように、先手を打っていくことを考えなければならない。同型化を加速する、タチの悪い事務局だけには、ならないように。

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