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2008年12月20日 (土)

「事務局力」を磨け

サラリーマン第三の道を歩むことは、管理職を目指す働き方と対局に位置することを示した。また、第三の道は利他的なメカニズムに従い、青臭い理想を追求し続ける生き方であるということも伝えた。

では、今日から具体的にどのように行動を変えていけばよいのだろうか? どうすれば、第三の道を歩み始めることができるのだろうか?それが示されなければ、所詮正論にすぎない。

その答えとして、ここでは一つ、耳慣れない言葉を示したい。それは、「事務局力」だ。

「事務局」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 事務局とは文字通り、団体やグループ、プロジェクトの「事務」全般を取り扱う人たちの役割だ。事務局という響きに、いいイメージを持っている人は、どのくらいいるだろうか? きっと、「事務局というものは創造的な役割でしょうか?」と尋ねたら、サラリーマンの90%以上の人が、「事務局とは、創造性とは対極にあるオペレーショナルな仕事だ」と答えるのではないだろうか。

大企業の経営層や変革リーダーの人たちと「組織文化の革新」について議論していると、たいへん興味深い共通の意見がある。それは、経営企画、営業企画、研究開発企画など、もっとも創造的な仕事をしそうな部門に対して、「もっとも創造性に対する理解のない部門」だという認識を持っていることだ。名前の由来からすると、当然企画部門であるから、もっとも創造的な発想と業務をして然るべきなのに、なぜそういったことが起きるのだろうか。それは、「管理職を目指す行動指針」と同じことが、企画部門で起きてしまっているからだ。企画部門は、いわば役員のブレイン(頭脳集団)だから、どうしても「上ばかり見て仕事をする」ことになる人が多い。

役員のブレインを務める企画部門には、事務局的な活動がどうしても多くなる。役員が言い出したタスクに対し、企画部門は1, 2名の事務局を任命し、関連部門の代表者を集める。その雑事全般を担い、自らの意見を求められることもなく、調整業務に明け暮れる。メンバーのスケジュール調整、会議の設定、議事録の作成、役員への定期報告の作成、関連部門との調整、最終報告書の作文、アクションプランの策定、等々。やることは山ほどある。だが、自分のプランではない。あくまでも客観的に、文書作成しなければならない仕事である。

読んでいるだけでも、頭がくらくらしてきただろう。事務局の宿命だ。端から見ると辛そうな仕事だが、たちの悪いことに、やっている人たちは気持ちが良くなってくる。「自分たちが会社を動かしている」という錯覚に陥るからだ。これが政府であれば、「自分たちが社会を動かしている」という錯覚になって、もっとたちが悪い。

私は、声を大にして言いたい。「志のない事務局は、会社(または社会)を駄目にする」のだ。志のない事務局のことを「管理的事務局」と呼ぼう。管理的事務局は、価値を生まずに、仕事を増やす。役員の仮説を検証せずに、肯定するデータを集める。こういう事務局の闊歩する会社では、「一貫性のないビジョン」や「納得のいかない戦略」が現場に次々に降りていく。最悪だ。

その一方で、志を持つ人が事務局をやると、話はまったく違ってくる。これを「戦略的事務局」と呼びたい。戦略的事務局は、想いを伝播させ、組織全体を熱く、やる気のある集団に変える。こんな会社で働くと、毎日が楽しくなる。会社を変える人材は、こういう人たちだ。

彼ら彼女らは、元々のスーパースターではない。戦略的事務局となり会社を変える人たちが、管理的事務局に徹してしまう人と違うところは、「管理職を目指す行動指針」に従ってしまうか、「サラリーマン第三の道の行動指針」に従い続けるか、それだけだ。そして、第三の道を歩む彼ら彼女らは、戦略的な「事務局力」を身につけてきたのだ。正しいプロセスで。戦略的な事務局力を身につければ、自らの持つ理想を掲げながら、組織を動かし、人間関係を構築し、より上位の目的にあった成果を挙げることができるようになるのだ。

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