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2008年12月15日 (月)

「未来を経験する場」でイノベーションハブを育てる

フューチャーセンターは、「未来を経験する場」である。毎日現在の問題解決に明け暮れている社員が、フューチャーセンターに来て対話をすることで、「日常を未来志向で考えられるよう」にすることが、日本企業にとってのフューチャーセンターの最大の意味ではないだろうか。

フューチャーセンターに来ることで、社員はこれまでに協業してきた人たちと、まったく異なる多様な人々との対話を経験する。創造的な空気の中、異なる背景を持つ者どうしが、相手に共感しながら、相互に尊重し合って対話を続ける。そうすると、「どうしていつもは、こういうふうに楽しく話せないのだろうか?」と感じて来る。それによって、フューチャーセンターから自分のオフィスに戻ったあとも、その社員の日常は大きく意味が変わってくる。

フューチャーセンターは、いつでもオープンに「複雑な問題」を待っている。もちろん、複雑な問題とは、きわめて主観的なものである。どんな問題が挙がってくるだろうか?例を考えてみたい。
「お客様に今ない商品についての問い合わせを頂いた。誰に言えばいいのだろうか?」
「テレビでスーダンの国際援助の難しさについての報道を見た。うちの会社にも、何かできることがないだろうか?」
「保険会社向けのシステムと、自動車販売店向けのシステムで、共通部分をプラットフォーム化して開発コストを30%ダウンさせられないだろうか?」

フューチャーセンターには、誰かが単純な答えを持っているような問題ではなく、さまざまな解釈があり得たり、利害関係者が多かったり、といった少し複雑な問題を誰もが持ち寄ることができる。ファシリテータは、これを高い視点で受け取り、問題を切り分け、適切なイノベーションハブの人たちを集めてワークショップを開催する。

こういった「経験の場」の開催を重ねることで、次のような原体験を積むことができる。これは、イノベーションハブ人材を育てる土壌を作る上で重要なことだ。
・複雑な問題を組織横断で解くことができる、という成功体験を得る。
・イノベーションハブとの対話の機会が増え、発想方法を学ぶ。
・問題は論理だけで解くのではなく、感情で解くものでもあることを知る。
・対話のファシリテーションによって、結論が大きく変わる。

もう一つの経験教育として重要なポイントは、フューチャーセンターで「ナレッジブローカー」(シュルンベルジェ社の制度で、地球上のあらゆるところからの問い合わせに対して、答えられる人を瞬時に探して紹介する専門職。シュルンビルジェ社ではナレッジブローカーを経験した人材を二段階特進させるほど、この仕事での能力向上を公式に認めていた)の仕事を担うことで、会社の全体像を把握でき、さらに大きな人脈網を構築することが可能になる。

つまり「未来を経験する場」での学習には二通りあり、フューチャーセンターに現場の問題を持ち込むことで、今までにない経験を得ることが一つ。もう一つは、フューチャーセンターでナレッジブローカーを担うことによって得られる経験知だ。これら二通りの手法で、イノベーションハブの育成を仕掛けることができるはずだ。

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