事務局力の七つ道具(2): アガペー(神の愛)モード
【基本ツール】
事務局力の七つ道具(2)
アガペー(神の愛)モード
会議がうまく行く、行かないの原因の多くは、その会議を支配する「モード(様式)」にある。
こちらが緊張すれば、聞き手も緊張するし、こちらが警戒して攻撃的な態度に出れば、聞き手も攻撃的になる。このモードをコントロールすることが、事務局力として最も重要なことだ。
起こしがちな失敗は、用意周到な事務局力を持つからこそ起きる。こちらが十分な準備をして臨んでいるからこそ、参加者が自分の知識や権威をひけらかそうとするスタンドプレイなどは、すさまじく鼻につくからだ。「このことは検討しなくていいのかな?以前のプロジェクトでは・・・」といった、経験の披露などは要注意だ。どうしても「そういうことは検討済みですよ」、「その意見は今日のテーマからはずれてますよ」、「さ、本題に戻りましょう」と言いたくなる。
しかし、こういった否定的態度は事務局力の命取りになる。なぜなら、事務局 vs 参加者という構図ができあがってしまうからだ。「事務局の気に入らない話題は、ここでは話しちゃいけないわけ?」といった挑戦的なモードに入ってしまう。こうなったら、ねらいとするセンスメイキングには、到底至らない。
参加者全員をお客様と捉え、各人の満足度を高めながら、全体をナビゲートしていく「寛大さ」が必要になる。しかし、思いのほか、これは忍耐力がいるものだ。
そこで、事務局に必要なことは、「神の愛」、そう「アガペー」のモードを保つことだ。誰に何を言われても、「ありがとう」、「それは大事ですね」、「良い質問をいただきました」と返すには、心の構えが何より重要だ。
おいおい、スピリチュアル(霊的)な話か? と白けないでほしい。まじめに、すごく有用なツールなのだから。
アガペーのモードを作るには、スピリチュアルな心のプラクティス(練習)を活用する。とても簡単だ。参加者全員を一人ずつ順番に見つめながら、アガペー(神の愛)で包み込んでいくのだ。例えば、いつも厳しいことを言う部長が参加しているとしよう。その人のことも見つめて、アガペーな気持ちでいっぱいになればいい。アガペーのいいところは、勝手にこちらが思いこむだけでいいところだ。相手に何かを伝える必要はない。しかしそれでいて、効果はすぐに出る。即効性。愛する気持ちでいっぱいになると、怖い人も、怖くなくなる。そうすると、こちらの態度が変わる。それは一発で伝わる。正面から対峙するのではなく、同じ方向からものを見ることができるようになる。
さらに上位テクニック。それは、本社や他事業所、または顧客企業など、他拠点で会議を仕切るときに使えるものだ。そのビルに到着した時、立ち止まり、事業所であれば入り口、本社ビルであればビルを見上げて、拠点全体をアガペーな気持ちで包み込んであげる。具体的なスピリチュアルなテクニックとしては、身体が地球とつながって、その本社ビルも自分の身体の一部であるような想像をするわけだ。ひかないで!さぁ、素直にやってみよう。即効性があるぞ。
事務局(または提案者)がアガペーモードで臨んだ会議は、必ず相互理解が進む。だまされたと思って、ぜひ試していただきたい。